初めての山岳救助 その1
長野県ではハイシーズンである夏山に
山岳遭難防止対策協会から約2カ月の間30名程の隊員を派遣して登山者に登山指導や相談。
登山路のパトロールなどの遭難防止に努めてます。
管轄エリアで山岳遭難が発生した場合は第一前線としてこの部隊が送り込まれ
山岳救助の救助活動に当たります。
北部と南部に班ごとで配置され山小屋などに常駐することになります。
初めての救助活動...。
そうあれは天候が悪く雨が降っていたのを今でもしっかりと覚えてます。
遭難者Aさんは遭難する前から実は目をつけてました。当時の班長にAさんは遭難する可能性高いですよと伝えてました。
ではではその時の記憶を紐解いていきたいと思います
大きなザックを背負って夜の8時過ぎ(山では三時までに到着してるのがマナーでありルール)に突然現れたAさん。小屋のスタッフから僕らは呼ばれます。
改めてAさんに話を聞いてみると道迷いをしてしまい今の時間になった。ドコドコまで行くつもりですと言っている。確かに迷いそうな所はあるが
注意さえしてれば迷う所ではない。
かなりの縦走を歩いて来てるので体力的に疲れていて高齢者でもあるので注意力が散漫になっているのではと判断して
安全を取って今回はここで下山することを伝える。
しかし、雰囲気的にやめる気がないようなのでアミノバイタルを数本渡して話を打ち切る。
僕らに強制権はない。後は登山者の判断に委ねるしかない。
そして僕は信じられない光景を目の当たりにする。
それはAさんが小屋のスタッフから缶ビールを2本買っているのである。
Aさんが予定を変更せず進むならまだまだ危険箇所や道迷いしそうな所は沢山ある。
明日も早く出なければ夕方には次の山小屋には到着出来ない。
察するに道迷いしたことによって極度の緊張感の中何時間も歩いて来ただろう。それでもなお進むならばせめて食事をしっかり取って休息を取ることが
ベストなハズなのにビールを飲もうとしてるのが信じられなかった。
Aさんがやろうとしてる登山はもはや趣味の領域を越えた域にあると思う。頑張ったのだから飲みたい気持ちもわかる。しかし流石に小屋のスタッフにも迷惑をかけて食事を出して貰ったのだから...まだまだ続く縦走登山。せめて今日は道迷いをしてしまった反省と問題を考え早めに寝るようにしてればまた変わった結果があったのではと後の祭りですがそう思わざる得ません。
僕らは何も言わずにその場を立ち去り明日は小屋を移動しなければならないのですぐに就寝。
Aさんも次の小屋が一緒だったので登山者の見送りをしたあと僕らもパトロールに向かう。
お昼頃に着いて小屋の人に宿泊者の名簿を見せて貰ったがAさんの名前がない。
僕らのペースが速いこともあるので着いてないのは承知の上だが、何もないと良いなと思いながら班長と話す。
次に続く
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