青春を山へ

登山記録と過去の登山を日記風に綴っていきたいと思います。

雪山登山ツアー 八ヶ岳~天狗岳

雪山単独行の話をしたついでに初雪山登山の事についても触れたいと思う。

あれは、夏山ばかり登っていて早く雪山にステップアップしたかった頃...。

僕は、雪山のツアーガイドがあることを雑誌などを読んで知ってはいたが、なかなか一人で参加するなんて...と思っていた。


雪山装備は全て持ってはいたが、その一歩が踏めずに月日だけが流れていた。


自分の住んでいる環境に登山をする人は一人もいないので、登山について話すこともなく一緒に行く機会も恵まれなかった。


誰かと行ければなとずっと思っていたが、これではダメだと人任せの登山行など何も成長しないし変わらない。ましてや時には牙を向く大自然に僕は入れない。


そう思ってツアーガイドに電話したのが雪山登山の始まりである。


その助けとなったなのが「青春を山に賭けて」の本


植村氏のような行動力も大胆不敵な性格も僕は持ち揃えてはいなかったが、たった一人で世界を歩き回った人がいるんだ。雪山登山ツアーぐらいなんだ!と自分を奮い立たせて...一本の電話をいれた。...が


留守番に切り替わった(笑)


その後はメールのやり取りをして、必要な装備を買い登山口で合流する事になった。


前日の車中泊。緊張と興奮でなかなか寝付けずワクワクしてたのを今でも覚えている。どんな人達がいるかな~と


そして当日を迎えた。


僕が参加したツアーガイドは、芸人のイモトさんを劔岳でガイドされていた方で何年も海外登山をされていた大ベテランの方。雑誌などにも出ている有名な方だ。


僕を合わせて六人の人たちと軽い挨拶をすませて登山開始。


まず始めに地図やコンパスの使い方を説明されるが...僕だけ理解してないような感じであった。。。


歩行スピードはやや遅めで休憩は全く挟まない歩きだった。

これでは遅いのではないか?と思っていたが途中で抜いて行ったグループを追い越していてガイドさんが言うとおり遅めのスピードでも意外に早く到着する。




早速、山小屋の宿泊の手続きと昼飯を山小屋で食べる。僕は、テント泊ばかりだったので初の山小屋泊になる。新鮮だった。


知らない人たちとのぎこちない会話も山の話になると大盛り上がり。

一人ではけして味わう事の出来ない楽しい一時。登山好きな登山者と初めて交わした登山話。近くにこんな環境があればいいのにと心から思った。


その後は、荷物を整理をして、滑落停止の訓練


近くの丘までアイゼンつけての歩行訓練に耐風姿勢などの一通りトレーニングをする。


初めてつけるアイゼンにピッケル 全てが新鮮で楽しくて楽しくて嬉しかった。やっとここまでたどり着けた。誰に相談することもなく、一人で考え一人で行動する。そして今この環境にいることに自分を誉めてやりたかった



夕方には小屋に戻り、夕御飯を山小屋で食べてお酒を少しばかり嗜んでツアー客の人達と談笑に花を咲かせる。


山小屋の消灯時間は早い。確か8時か9時だったか

寝る前に小屋を出て一人で煙草を吸う。


雪景色の中テントの中から笑い声が聞こえ夜空は星で埋め尽くされていた


冷たい風を仰ぎついにここまで来たんだと改めて実感したと同時に遭難事故が多い雪山にこうして居るんだと身が引き締まる感じがした。


部屋に戻ってからも談笑は続き一番若かった僕の会話になる。

みんなはなぜ若者一人がここにいるのか興味があるようだ


「僕は無理かも知れないけどエベレストが行きたくて登山を始めました」と正直な気持ちをぶつけてみた。皆驚いた反応ではあったが応援してると暖かい言葉を頂いたのを嬉しく思った。


早過ぎる就寝時間ではあったが緊張感と疲れがたまっていたのか、目をつぶると瞬く間に寝入りした。


早朝に起きて朝ご飯を食べ皆で外に出る。外はまだうっすら暗い


多くの人達が装備をして外で準備をしてる、すごい光景だった。


自分たちも最終点検と準備運動をした後ついにアタック開始。



今回登るのは西天狗岳と東天狗岳のピークハント


登りの時に風は強く鼻水がすごかったが一生懸命着いていくのが必死で正直記憶がない。


二つの峰を登頂して下山する。

下山の時に初めてハーネスをつけてツアー客とザイルで結ばれた


面識のないグループが一つになった瞬間でもある。ザイルとは命の結び付きであると本を読んで知ってはいたが体験するのは初めてだったので緊張をした。



そのまま登山口までおりて無事にツアーは終了。


最後に皆と挨拶をすませお別れをする。短い時間だったが同じ時間を共有した間柄。握手して別れをつげる。


これが23歳の時に経験した初の雪山登山であり初のツアーであった。