青春を山へ

登山記録と過去の登山を日記風に綴っていきたいと思います。

冬季武尊山単独行 2012

今から三年前に冬季武尊山に単独で行ってきたお話


武尊山は群馬県に位置し標高2158m。上州武尊山とも呼ばれ日本百名山の山でもある。


厳冬期八ヶ岳の雪山ツアーでは歩行訓練にピッケルワーク。滑落停止訓練に耐風姿勢等々...。

一人ではけして学べなかった多くの知識を手に入れることが出来て次は単独に早くも挑んだ山が武尊山。

ただ当時。武尊山で若者二人が遭難しており軽装備だったので世間で叩かれていたのが記憶に新しい。


僕は、たった一度の雪山ツアーで全てを学べたわけではなくもし遭難してしまったらという重い責が僕にのしかかっていた。


やはりもう一度ツアー参加してからでも遅くはないのではないか。ただ季節は待ってはくれない。仕事も忙しくなるので行くなら今だ。


そう思って行く準備を始めた。


武尊神社の駐車場に到着して晩御飯を食べる


晩御飯は海鮮味噌鍋に焼き鳥。灯りもなく誰もいない駐車場で一人。

やはり少し怖い(笑)でも昔の人たちが、便利になった装備をみたらきっと泣き言言うなと一喝するに違いないと外で食事をした。

小雪がパラパラと舞っていて星空も綺麗だった。。。



早朝に起きて登山開始。


そしてすぐにこの看板...


熊出没注意にいかなる事故も自己責任。


一瞬足が止まるが、ここまで来たんだ引き返すわけにはいかない。

高速代が無駄になる(笑)。関西と鹿児島の血が流れる僕は、負けん気と関西人特有の打算的な考えで足を前に出す。


ただ熊さんだけには会いたくないと思いながら神社の方角にお辞儀をして進む。


地図とコンパスを用意はしたが、扱えない頭の悪さに悪戦苦闘する。とりあえず神社の方角は北を指してるので道に迷った時は北に向かえば大丈夫だなと

確認して道を進む


雪は所々多くラッセルも進むにつれて深くなる。ラッセルなんて教わってないよと思いながら腰まである雪をかきわけてもがく。




次第に凍結した鎖場の連続に取り掛かる



鎖は凍っていて滑るのでピッケル一本でなんとか登るがなかなか体力が必要なこと。





滑って骨折したらアウトだなーと思いながら慎重に行動する、そして


景色が広がり武尊山の山頂にたどり着く



空はガスっていてこれは悪天候になるかも知れないと思い昼飯に用意したおにぎりとカップラーメンを急いで食べる。。風と寒気が強くて食べるどころではなかったけど...。


次のピークである剣が峰に向かうが頭上には黒い雲。

写真には撮れなかったが吹雪だしてもいた。


下山道と剣が峰の分岐点で、剣が峰を経由したらあまりにも時間がかかってしまうため諦めてそのまま下山することにする。




冬の夕暮れは早い。あまりにも早くヘッドライトを出すが辺りは暗く真っ暗闇のなか足を出すことに。

上りと下りの登山道が違うため地図とコンパスを常に出しながら自分の歩いてる方角を確認する。雪積のせいで登山道がハッキリしていなかったので自分の下山道に自信が持てず少しずつ焦りだしていた。


ペースを上げるが標識一つ出て来ないので、いよいよ道にでも迷ったか?と思いだす。

そんなとき、ふと子どもの声が後ろからかすかに聞こえてくる。

親子で来てるのか?駐車場には僕の車しかなかったが?と色々考えたが

とりあえず後ろに人がいるのなら安心と地図をみながら歩む。


そしてますます暗闇がかかる頃ようやく駐車場に無事到着。


いや~良かったあ~と思いながらふと恐怖がこみ上げた




駐車場には僕の車しかない。。。



キャキャと騒いでる子どもの声を何度か聞いていたので勘違いではないはずである。

タクシーで来たのか?しかしすでに辺りは真っ暗闇。


駐車場に少しの間下りてくるであろうと待っていたが結局誰一人として来ることはなかった。



子どもの声も聞こえない。。これはまさか....と思いながら逃げるように駐車場を後にした。。。


これが僕の初単独の雪山登山である。